カテゴリ:映画( 3 )

 

young @ heart

1982年にマサチューセッツで結成されたコーラスグループを追ったドキュメンタリー.

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初期のメンバーは,全て高齢者住宅(elderly housing)の入居者.ツタヤで手に取って,仕事柄はずせない気持ちで観てみました.

「高齢者がロックなんか若者の歌を歌う」という構図,「なかなか上手くならない練習風景」「ステージでの発表と喝采」.初めは,こりゃあかんやろ・・・との思いながら観ていました.老・若,努力・上達などの二項対立的な安易さを感じる構図に,受け付けないものがありました.

でも.

機会があったら最後まで観てみてください.そんな構図を超える「人」がいる.

ずっと昔,高齢者施設に関する本を読んでいて,「育めることのできる環境の重要性」という言葉を目にしました.これを書いたのは,私の先生.この言葉に出会わなかったら,今の私はいない.

「育む」.自分の気持ちをそこに注ぎ込み,成長をみる.無味乾燥な,無機的な施設環境に,人としての時間・生活・活動を持ち込んだ先生の視点.そこには,愛・大切に思う気持ち・楽しみ・大変さなど,気持ちの復活があります.気持ちの復活で,身体が動き,また,生活の営みが始まる.「何かをしてもらう」「受ける」という内向きのベクトルだけでの生活環境に,外向きのベクトルを作り出した先生.

この映画では,「発信する」「表現する」という外向きのベクトルがあります.好き勝手に発信している,表現しているようにみえるかもしれませんが,一人ひとりの人生の重みを伴った表現です.この表現に触れたとき,心が響く.

「Fix You」を歌うFred. その表現に触れたとき,生き方に触れたように感じます.感動ではなくて,本物に触れたときの心が響くときの感覚.

Coldplayの「Fix You」を超えた,Fredの「Fix You」.

Young@Heartというタイトルは好きじゃないけど,FredのFix Youは繰り返しみています.
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by marvelous-days | 2009-10-31 10:12 | 映画  

Coffee and Cigarettes

Jim Jarmuschの2003年の映画.

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Jim Jarmusch.
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最近は「邦画の方がおもしろいやっ」て思って邦画中心にみていましたが,いえいえ,何か感覚が踊りだすのを感じました.

Saturday Night Live(アメリカのコメディバラエティー番組)に書き下ろしたショートストーリー「Strange to Meet」をはじめとする,coffee and cigarettesというprop(小道具)が生み出す直径1mの11 vignettes (ショートストーリー).

筋があるようでないコーヒーとタバコがある「場」の話し.日常のこういうなんてことのない場面を切り取る感覚が好きです.仕事がらでしょうか・・・「場」の,この切り取り方が感覚にぴったりきました.

他のJarmusch作品と同じく言葉自体もがprop(小道具)になってます.久しぶりにいろんな訛りのある英語の音を楽しみました.音楽,登場人物,色(白黒),市松模様,上からのアングル.full-lengthよりもこのvignettesが好きです.

「Delirium(幻覚)」のBill Murray.
「Cousins(いとこ)」のCate Blanchette.
「Champagne(シャンパン)」のTaylor Mead.

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     Hooray! 

Taylor Meadがすばらしい.「Champagne」については話も好き.
DVDに納められているTaylor Meadのインタビューがまた面白い.久しぶりにNYのしゃべりを聞きました.
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by marvelous-days | 2009-08-31 22:20 | 映画  

「割合」という言葉が浮かんだ,「トウキョウソナタ」

項目をあげていたにも関わらず今まで手をつけなかった項目「映画」。

遅ればせながら,ということでは,「トウキョウソナタ」を今取り上げるということも「遅ればせながら」です。

 リストラしても家族にいえない・・・お父さん
 ドーナツを作っても食べてもらえない・・・お母さん
 アメリカ軍に入隊する・・・お兄ちゃん
 こっそりピアノを習っている小学6年生の・・・ボク
                                  「公式ホームページ」から

家族の構成員としてのそれぞれの生活が,それぞれが生きる生活場面で映し出されている物語です。

 ある日突然「あなたは会社のために何が貢献できるのですか?」と問われてリストラを
   宣告されるお父さん
 フリーターをしているお兄ちゃんが受け取ってもらえないチラシを川へ放り出す場面 

などなど。それぞれの「場面」に映し出された数々の「不協和音」が視覚的に残りました。

生活場面には,もちろん「帰ってくる家」の場面もあるのですが,ここでも不協和音がいっぱい。家族はお母さんを通して,家での生活を協和させようとするのですが,うまくいかない。それに疲れてしまっているお母さん。お母さんであることにも疲れてきている。

 映画でみられるようなことがリアリティである割合
 リストラやフリーターになるということの割合
 こういう家族の存在の割合
 「幸せ」と感じられないことが起こる割合

最後の場面まで連続する不協和音に,これらの割合が高いと感じざるをえず,響き合えることが少ない実社会の疲弊感が重なり胸を締めました。

そして,最後に期待されていなかった「ボク」のピアノの才能に,社会とお父さんとお母さんが協和を示す。したいことがみつからなかったお兄ちゃんが,アメリカ軍に志願して行った中東で自分の居場所を感じ,そこに残るという。

 もっとも期待されていなかったところに協和する割合
 理解されずともそこに幸せを見出す割合
 受け入れることで幸せを見つけ出す割合

割合としては低いところに協和する光を「見て」,この映画は終わります。「ボク」のピアノに引きつけられているんだけど,拍手をしない観衆の姿も印象深かった。そこへ歩みよる「お父さんとお母さん」。唯一,協和する場面が視覚的に描かれている場面でした。

お父さんが交通事故にあって,縁石に片足を上げ道にころがっている場面。白いバンが見えたとき,「交通事故にまであうのか」と想像をするのですが,横たわるお父さんには悲壮感を感じさせない。この場面の解釈は難しかっただろうなと思いました。とても心に残った場面。香川照之という俳優のファンになりました。

いっしょにみていた息子ビロが一言,「いい映画やった」。ふぅ~ん,君にも感じることのある映画だったんだ。
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by marvelous-days | 2009-07-26 09:54 | 映画